敗者復活戦に臨む ー「それでも会社は辞めません」著:和田裕美 ー

「しんどかったら辞めても良いんだよ」が最近メジャーになりつつある、対お仕事への考え方だけど、この本はその思想に対して「『ちょっとだけ』待った」をかける本。本当に「ちょっとだけ」。

 

・あらすじ
主人公は人材派遣会社の新入社員。配属になった営業部で成績がふるわず、いわゆる会社の「お荷物部署」に異動させられてしまう。主人公はそのお荷物部署「AI推進部」の面々と、様々な会社と「人」の問題に向き合っていく。お仕事小説。

 

とりあえず、この本ドラマ化しないかなぁ。話数が1クール分、もたないかな。「今」映像化して欲しい。主役の女の子誰が良いかなで旦那さんと議論して、永野芽郁ちゃんにぜひって勝手になってた。彼女ちょっと情けない役が得意なイメージ笑

続きは感想(と面倒臭い自分の思い出)

 

現実こんな上手くいかないよねって思うところもあるけど、社会人へのエール小説として自信を持ってお勧めできる小説。新社会人だけじゃなく、ある程度年数を経た社会人にも「生きてる限り競争復活戦に望める」って希望を抱かせてくれる。

スタート地点や、生きていく経過地点でどれだけ「敗者」でも「勝者」になれる可能性は、誰にでも秘められているわけで。とりあえずこの本では会社で「戦力外通告(利益を生み出せない、むしろ負債)を受けた人」を敗者と定義するとして。

初めは主人公と一緒に不安になる場面も多かったし、私自身(30代にしては)大概情けない立ち位置にいるよね、って思い返して暗くなることもあったけど、どの章も最後は前向きになれる。それぞれの登場人物に良かったね、って言いたい。

使えないと思われる人を上手く使っていく能力や、人の才能を見出す能力を持っている人達も少なからずいるよねとも、思い出したり。(レアキャラ〜)

「会社を辞めずに」今の自分の能力と状況でどう戦うか、を考えさせられるお話だったな。私はどっちかって言うと無能側だから余計に心掴まれる。キリキリ痛い。

 

「自分は(3,5,10年後)どうなりたいか」「自分は何が欲しいか」

「何が得意で、何が苦手なのか」

 

突然だけど、就活の時に聞かれる質問って「自分」にとって大事だなぁと思った。会社の面接では「ブレずに一貫して論理的に話せるか」が焦点となる質問だけど、「自分がこの先どう在りたいか」の自己分析自体はどっちかって言うと社会人になった後からの方が大事だよね。上記質問が言語化出来る人は逆算で考えて、行動出来る。

これが既に新入社員時により具体的に分かっていればなぁ、と迷う主人公を見ながら思ってしまった。私は20代前半「自己分析」の真髄を分かっていなかった。何なら「世間の常識」に流された20代。「自分はどうなりたいのか」を考える前に、「世間的に普通」を選択することに必死になってた。世間の普通に従っていれば、自ずと世間の「普通」を体現した大人になれるだろうと思ってた。普通っていうか理想の「大人」。

入ってからじゃないと分からないことも勿論たくさんあるけどね。社内の人間関係みたいな、自分の力だけじゃどうにもならないものとか。仕事の向き不向きもやってみないと分かんない事あるかな。学生時代に向き不向き完璧に分かっている子は、経験値高過ぎるか、そもそも苦手なことが少ない。

私は今の会社で3社目になるんだけど、私の世代でこの転職回数なら「苦労は買ってでもしろ」「石の上にも3年(とりあえず3年働いてみろ)」の価値観には沿えなかったタイプになる。私が新入社員の頃は(約10年前)終身雇用の考えが崩れ始めたとか言われていた頃だけど(リストラ)、まだまだ「我慢できないなら転職したら良いよ」みたいな考えは許されない雰囲気だった。つまり当時から既に「普通」ではなかったんだよね。

1年も経たずに1社目辞めちゃった。本当に申し訳ないことした。本当に迷惑かけたよ。なんて言うか自分のことでいっぱいいっぱいすぎて、当時の事を思い出すだけで頭抱える。

2社目は思い出したくない。既に発症していたIBSが重症化したのも、この会社入ってからかな。同じ日本語を話しているはずなのに、どうもその言葉の定義が私と違い過ぎるみたいで話が真っ直ぐに通じなかった。とにかく帰りの電車で涙止まらなかったなぁ。実家暮らしで両親も「3年は続けろよ」の考え方の人たちだったから、辞められなかったしね。(家を出るべきだったんだけど、それを考える気力すらなかった)「ダメなら辞めても良い」って言う人、あの時代少なかった。それでもあの時の自分でやれるだけのことはやってきたよ。

そんな私も社会人10年目越すぐらいになったから、結構何とかなるもんだなって今は。

この本読んでると、社会人1年時の絶望感も思い出すと同時に、余計に今の「何とか生きられるもんだ」状況に有難味がわいてくる。もちろん旦那さんのおかげでもあるよ。

3社転職して思うのは、ハラスメントタイプはどこにでもいるって事。これほど「パワハラ」「セクハラ」色んなハラスメントが叫ばれて尚、その流れに沿えない人たちは未だたくさんいる。ちなみに私は「マルハラ」についてはちょっと分かんないタイプ苦笑 それは文章としての区切りでしかないし、怖いって言われても、、、と思っちゃうのが「考え方古い」になるのかな。

どれほど規模の大きい会社に転職したところで、「変わっている人」はたくさんいるし、自分の「普通」を押し付けてくる人もたくさんいる。(私も無意識にやってるかもしれないから、気をつけなきゃ)そんな人達も大人だから、それまで築き上げて来た人間関係ってあるはず。四大卒だったら22、23年間分、その自分の性格に疑問を持たずに生きてこられた人間関係があるはずなんだよね。つまり私には想像し難い、その彼らの性格が「普通とされ、肯定されてきた社会」がある、たぶん。

じゃぁ、そんな微妙にズレた価値観同士が集う会社の中でどうやって「生きていくか」を考えた時に、自己分析がある程度出来上がっているって大事だよなぁと改めて。

主人公と周りの人達、どっちも「話の流れ」で自己分析を完成させてる感じ。自分に自信が出てくるっていうよりは、自分自身への理解が完成していく感じ。自分は「どう在りたい?」

昨今の流行り「自己肯定感」の前に「自己理解」よね。

ちょっと前に書いた「服の購入において店頭でも、オンラインでも失敗する」問題も、自分の身体のサイズを把握して、パーソナルカラー・骨格診断で判断、手持ちの服の色味形状整理すれば、オンラインでも失敗しないかも、、、いや面倒臭いなぁ笑(でもミニマリストの子達は、きちんとやってる) 自己理解って時間と手間がかかる。

やっぱり時間のある学生の時に一旦、完成させておきたいね。もちろん年を経ると考え方も変わるから、自己の解釈も年と共に更新必要だけど。自己分析ノート買ってみようかな、、、今って探したら何かしら出てくるから便利〜笑

 

 

後昔の仕事のお話で暗くなっちゃったから、最近ハマってる曲も、、、

(勝手にリンクして良いのかな)

sanetti / フォーエバートゥエンティーンズ


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